その箱の中へ入ることは　「必」要な「儀」式
どれだけあなたが私を愛したとしても
私がどれほどまでにあなたを愛したとしても
その箱の中でみんな　独りぼっち

進水式を　どうかその杯を揚げて
三途の川への　着水式を

この目が二度と開くことはないというなら
この目を閉じることなく納めて欲しい
じっと目を凝らして見ておくから
その箱の中から　
誰がその掲げた杯に　涙を浮かべてくれたのか

私はきっと独りぼっち
けれど誰かが持たせてくれたわずかなお金で旅ができるでしょう
暗い箱の中で　誰もが独りぼっち

けれどどうか　忘れないで
必要な儀式のために　その箱を誰かが用意してくれたこと
独りぼっちの旅路を見送るために
黒い服を着て　篝火を炊いてくれたこと

棺の中からその優しさを　じっと見ておくから
どうか目を閉じないままで納めて欲しいの