その腕に残った傷を　哀しくなでた
必要だった傷　けれど不必要な傷
ざらざらとした表面に触れた
繊細な肌は　もっと繊細なものを守ってる

あなたが自分でつけた傷に塗る薬を私は持たない
あなたが自分で傷をつくる理由に効く言葉を私は持たない
けれどそれらが簡単な問題じゃないことを知ってる

激しい衝動　抑えられない感情
苦しく切ない　今このとき

いっそ私を傷つけることであなたが救われるならそれでもよいのに
あなたはそんなことで救われるほど単純じゃなくて
私を傷つけても本当に傷つくのはあなた
それほどまでに優しくて

私は薬を持たない　悲しい傍観者
私は言葉を持たない　哀しい他人
その傷を見て私が泣いてもそれは治らなくて
いくらなでても原因が何一つ解決しなくて

あなたの言葉をきいてみたいな
その理由なんかじゃなくてもいい
愚痴でもいいから　あなたと会話がしたいな

救えないことで　救われないことで　誰もが傷つくほどに優しいなら
その傷を治せなくても　あなたを止められなくても
あなたが　私が　泣いても　哀しくても

私はその腕をなでながら会話がしたいな