2007.12.24---またもや漢字ネタです。里と火。白は反射、黒は吸収を基盤にしています。

21.黒

この心に現れた業火は 郷里(きょうり)を燃した
消し炭にして振り切り 遠い光り輝く場所を目指した
もっと違うところへ行きたい もっと違う場所へ
可能性を可能性を拡げて 里を忘れて 過去を全て薙ぎ払って

あらゆる光が反射し合い
眩しく強く焦がすように照らし尽くし
四方八方からの光で影すらできないほどに
それは存在を消滅させるように強い色
その中でなにができた?

この心に現れた灯火は 郷里を模した
炭の暖かさが身体を温め 遠い場所で泣いた
あの場所に帰りたい あの場所に戻りたい
可能性は可能性はどこにだってあった 忘れなくても 薙ぎ払ったりしなくても

光はそれほどなかった
けれどそこに不足はなくて月明かりが穏やかだった
森の陰は怖く 家の灯は沁み照らした
それは存在を休めるようにまろやかな色
その中でなにかできた

里を燃やして黒一色に変えて跳びだしたあの日 その道を逆に辿る
拡がる 変わりながらもあの日の薫りを保ったままの郷里
黒は全てを飲み込み抱えてもその本質を失わない色だと思い出した

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