2005.10.09…それは自己犠牲という名の美しい名前ではなく

70.痛み

千切れるような痛みの中で 死にたいと思った
体が引き裂かれるような感覚に 神経がついていかなかった
いっそこの身体中をめぐる電気信号が途絶えてしまえばいい

痛みをくれたのはあなただった
けれど あなたが傷んでることがわかった
ひどく 手折れそうな 倒れそうな その顔色に
わたしの痛みなど 案外 大丈夫なものじゃないかと思えてきて
あなたに 何も言えなかった

千切れるような痛みの中で 生きたいと思ってしまった
どこか引き裂かれた部分から 自然と綴じ始めているのがわかった
そうね それは危険信号ではなく回復信号

傷んだ痛みに あなたの笑顔が消されては わたしは哀しかった
わたしに痛みを与えたことなど今更どうでもいい
気づけば あなたの痛みが消えることを願ってた
わたしの痛みなど 結局 たいしたことはないのだと思えてきて
あなたに 何か言いたかった

千切れるような痛みの中で 傷ついたのはどちら
痛みが 生命維持への危険信号なら それは必要で
千切れるような痛みの中で あなたのために 自分のために
ああ どれほど自分が傷んでいても 笑える人に成りたいと思った

そうして 誰かの笑顔が 誰かの鎮痛剤になることを祈ってる

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